ロッドとリールを購入してラインを巻いてリーダーとティペットを準備し、加えて足周りの装備を整えたら、後は毛鉤があれば理屈の上では釣りができそうですが、実際これだけでは直ぐに行き詰ってしまいます。 
             それ以前に毛鉤を振り回す釣りですので危険が伴います。そこで必需性の高いものから順を追って列挙します。 
             
            <偏光グラス> 
             メガネをお掛けであれば強要しませんが、裸眼の方は絶対に準備してください。 
             飛行中の毛鉤から目を守る為、最初は・・・ 
             「色などに拘らずとにかく手元にあるものでも構わないので着用する」 
            ・・ことです。 
             これまでに二度ほど、偏光グラスに毛鉤がぶち当たったことがあります。右の耳たぶに蝉が木にとまる如くライトケイヒルのピアスが出来たことが一度だけあります。(貫通はしませんでしたが・・) 
             
            <帽子> 
             キャップでもハットでも構いません。必需品です。 
             帽子はキャスティング中(飛行中)の毛鉤から頭を守る・・ 
             「ツバが邪魔にならない物を着用する」ことです。 
             特にB(湖沼止水志向)の方が釣り場としてイメージされる湖沼管理釣り場では不意に吹く風でラインにブレが生じて、自分の毛鉤に帽子をかっさらわれたこともあります。 
             
            <クリッパー・ハサミ> 
             糸を結んだ後の処理に必要不可欠です。他の釣りから転用されても問題ないですが、もう一つ大きな役割があります。 
             「ニードル付のクリッパーを一つは準備すること」 
            ・・・をお勧めします。予備にもう一個(ハサミでもよし)があれば申し分ありません。 
             毛鉤を結ぶ時にアイが上手く空いてない場合があります。この時にこのニードルで穴を確保することができます。これがないと結べない毛鉤が実際出てくると考えます。 
             
            <フライボックス> 
             これは本格的にやり出すと各個人の趣味嗜好で様々です。本格的にやり始められてからあれこれ考える楽しみにして問題ありません。 
             無いと困りますが、専用でなくともカサ張らずフライが型崩れしない入れ物であれば、充分使用できます。従って・・・ 
             「好みがハッキリするまで安価で様子見」・・が無難です。 
             
            <ドライ(毛鉤を浮かべる)系> 
             濡れた毛鉤を乾かす小道具が最低限一つは必要でしょう。 
             「少なくともパウダー系のフロータントをひとつ準備する」・・ことです。 
             後は予算が許せば、ペースト・ゲル・液状などがあれば悪い方向にはなり得ません。 
             悪い方向と言う表現は絶対必要と言う訳ではなく、この辺りもその後の試行錯誤で決めればよいと考えます。 
             正直、人それぞれで皆々使用しないと納得されないのが普通ですのでこれ以上書いても無駄です。 
             
            <ニンフ(毛鉤沈める)系> 
             ルースニングとアウトリガーで必要となる小道具で、ショット(ガン玉・重り)とマーカー(ウキ)が必要不可欠です。 
             「マーカーは発泡タイプで小は大を兼ねる。ショットは3・5・7」 
            ・・・迷われるならココからスタートしてください。 
             マーカーは色々ありますがヤーン系は場所を選びます。発泡素材は一応は何処でも使用できます。 
             マーカーで一番迷われるのはサイズと察しますが、これも用いる毛鉤や釣り場の状況で一概には決められません。 
             傾向として自己流で突っ走った場合、概して大き過ぎるマーカーを用いる状態に陥ります(私も同様でした)。 
             あれこれ揃えて試行錯誤も良いですが、突き詰めて考えると大きいマーカーはそれ以上小さくすることが殆どの場合不可能ですが、小さいマーカーは最悪2個着ければ急場は凌げてこれでも釣れます。 
             こんな事を書くとニンフ愛好者から異議申し立てが来るかもしれませんが、あくまでも急場を凌ぐ方法として小は大を兼ねるとお考えください。 
             ショットは普通のガン玉で全く問題ありません。ツインストンなど専用性を主張した板重りもありますが、ガン玉の3号・5号・7号があれば充分と考えます。 
             
            <フィッシングベスト、またはバッグ> 
             やりたいことがA(渓流河川志向)ならばこれは間違いなく必需品と考えて下さい。 
             B(湖沼止水志向)やC(不特定対象向)でも殆どの場合、この釣りは移動しながらか足元が水中の状態で釣ることが多くなります。しかも両手を頻繁に使用しますので桟橋やボートを除けばベストかショルダーバック、リュック等は必需品と言えるでしょう。 
             「フライ専用でなくともポケットの多いベストを着用する」 
            ・・・のがお勧めです。 
             他の釣りからの転用であればライフジャケット兼用でない限り大きな支障とはなりません。しかし、購入されるなら予算の許す範囲でフライ専用のベストを購入されるのがベターです。 
             サイズは普段着より大き目に感じる程度が良いと思われます。色は好みで決めて下さい。 
             
            <遊漁券> 
             管理釣り場で無銭釣りをなされる方はおられないと考えますが・・・ 
             「渓流の殆どは、どこかの漁協さんの管轄下にある有料釣り場」 
            ・・と言えます。必ず購入しましょう(笑)。 
             
             以上が最低限の必需品で、これらに毛鉤があれば、一応は釣りをすることができます。後は、フォーセップが一つあれば便利です。ルアーから転向される方はそれまでの針外しでも何とかなりますが、それ以外の釣りの針外しは概して使用できないとお考えください。 
             そうそう、ネットがあれば取り込みで悔しい思いをせずに済むかもしれません。 
             これも極端な言い方をすればベストの背中に吊るせて魚をすくうことができれば何でもOKでしょう。 
             但し、写真映りを問えば値が張るものが見た目も良いに決ってます。 
             
             当たり前のことですので、一々書いてはおりませんが、ここに記したものはフライフィッシングを行う為の最低限の必需品です。山奥深く分け入る様な釣り場や、日没まで釣りを行う場合など・・・ 
             「護身に関わるものは当然しっかり考えて準備する」 
            ・・これらは「釣り」に関わらず全てのアウトドア・スポーツやリクレーションで書くまでもなく当然のことです。 
             
               |