  
             これはもうココであれこれ書き記す必要もなく、超有名な毛鉤である。・・が、私は巷で絶賛される程の釣果を得た事はなく、どちらかと言えば相性が悪いのかもしれない。 
             マーチブラウンシリーズを代表するかのような扱いを受けているこの毛鉤を、私もその恩恵に肖りたくてせっせと巻いた。 
             ところがこれが結構難しい・・・シンプルなデザインで一見簡単に見えるが、端正なスタイルが要求される為かなかなか思う様に巻けない。 
             ボディーが凸凹で事故車の様に歪になる・・ウイングが細くトンがって角の様になり、ハックルはまとまらずしゃくれた鬚の様にそっくりかえる。 
             「ケッ!イギリスのジェントルマンが巻かんとアカンのかぃ?・・浪速の珍奇な男が巻くと、こうも不細工になるんかぃ?・・ホンマしばいたろか!」・・とボヤキが口から突いてでる。 
             それでもどうにか形が整い使えるレベルに到達したが、巻いている最中から本当にこんなスタイルで釣れるのか半信半疑だった。 
             案の定使ってみるとパッとしない・・・一応、どうにか釣れたがプロフェッサー等と比較すれば雲泥の差である。 
             特にドロッパーに結ぶと、もうゴミと一緒で見向きもされない。 
             幾度となく試みるもリードに起用された時にマグレに近い状況で釣れてくれる程度で、とても巷で持て囃される状況には程遠く、私の巻き方か使い方に問題があると思っていた。 
             今でも釣果面では大した変化は現れていない・・しかし、ドロッパーでの起用を諦めリードに回ることが多かった為か、ドロッパーで勝負する時のリードフライとして仕掛け全体を安定させる役割としてはこの上ないと思っている。 
             サイズは#10のみに落ち着きつつあり、ドレッシングが薄いこともあってか、着水すると素早く潜行して定位置に安定し、メンディングやターンによって踊らされるドロッパーをしっかり支えるアンカー(碇)の役割をきっちり果たしてくれ、時々浮き上がる状況で魚を釣ってしまうユニークな毛鉤である。 
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